情報流通ビジネス研究所
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特集・ソーシャルビジネスの勃興とモバイル化――iPhoneの研究(第1回)(2010/10/17)
日本では2008年に発売開始されて以降、当初の販売低調を乗り越え、日本だけで2009年度の販売台数140万台に達したと言われるiPhone。世界市場においても、2009年通年の販売台数が2510万台と前年比で倍増し、端末メーカーとしてAppleは大手の一角を占める躍進を果たした。当初、ITマニアしか食指を伸ばさないガジェットであったiPhoneも、日本では今や女性の購入比率が40%にのぼり、少なくともビジネスマンやIT感度の高いユーザーの多い東京都心では、iPhoneが今や最もメジャーなモバイル端末にのぼりつめたことが実感できる。

(1)"iPhone 経済圏"の市場規模と予測

iPhoneの革新的UEでSAPを魅了したApple


iPhoneの大躍進を支えるのが、アップルのTVCMが連呼するアプリケーションの魅力である。当初は Google MapsやYouTube等、PCの人気サービスをプリインストールで移植することから始まり、AppStore上のアプリケーションの数やバリエーションは限られていたが、その後、個人を含むサードパーティが続々参入を果たした。

現在は、約15万件のアプリケーションがAppStoreを通じてダウンロード可能であり、全世界のダウンロード数は2010年1月に累計30億件を突破した。現在、約3カ月ごとに10億件のペースでダウンロード数が増加している。ユーザー参加型のソーシャルアプリケーションも続々生まれて人気を博し、AppStoreが「ソーシャルアプリの本家に躍り出た」――と表現する向きも少なくない。

iPhoneがアプリケーションデベロッパーをここまで熱狂させる理由は、1にも2にもiPhoneのユーザーエクスペリエンス(UE)の革新性であろう。簡易コンピューターおよび通信端末としての基本性能の高さはもちろんのこと、今やiPhoneの代名詞となったタッチパネル入力、さらにはGPS(電子コンパス)やモーションセンサー等、センシングマシンとして独自の高い機能を備えている点が特徴である。

ゲームや位置情報系サービス等のアプリケーションにおけるユーザーエクスピリエンス(直感性や表現力)では、他の端末の追随を許さない潜在性をiPhoneは秘めている。エンジニアが興奮を覚え、たとえ儲からなくても新規性のあるアプリケーション開発にチャレンジしたい気になってしまう、新時代のユビキタス端末としての磁力を、iPhoneは発生させている――といえるだろう。

iPhone 経済圏における市場スケールの把握

では、アップルが創造したiPhone経済圏は現在どの程度の規模で、今後どこまで成長するのだろうか。図表11は各種資料より試算した、2009年度の日本のiPhone経済圏の市場規模推定結果である。iPhone経済圏(端末+通信サービス+アプリ、キャリアネットワークに接続可能なiPadを含む)は、2009年度に約1,200億円の規模と推定され、2012年度にはそれが約8,800 億円の規模に達するものと予測される。

その中でアプリ課金市場については、端末稼働台数増に加え、iPad投入を一因とした電子書籍等への有料課金対象ジャンルの拡張効果を考慮し、2009年度の推定27億円規模(iPhone経済圏全体の約3%)から、2012年度には430億円規模(iPhone経済圏全体の約5%)への成長を見込む 。

図表 国内におけるiPhone経済圏の推定市場規模と予測(2009年度→2012年度)

iPhone_market_isbi2010.jpg
出所:情報流通ビジネス研究所

国内モバイルコンテンツより一桁小さい市場規模

ここで予測したように、iPhoneアプリ課金市場の成長率は相当に高い。ただそれでも、「ガラパゴス市場」と近年成長の限界が揶揄される、iモードを中心とする日本のモバイルコンテンツ市場(2009年で5,525億円)と比べると、2012年度段階でも依然一桁小さく、日本市場向けのiPhoneアプリで企業が飯を食っていけるほどの規模とは、依然言い難いのである。

もちろん、グローバルでみれば市場規模はこの数倍だろうが、文化の独自性の強い日本のアプリのうち、世界で戦えるものがどれだけあるか。そのように考えると、「これからはiPhoneアプリの時代」と訴えているとさえ思える、アップルとソフトバンクのアグレッシブなプロモーションは、過大な幻想を振りまいている感なきにしもあらず――といえよう。(次回に続く)
(文/情報流通ビジネス研究所 SNS・ソーシャルアプリG+梶村  徹)

※本記事は、情報流通ビジネス研究所発行レポートの内容を不定期で掲載しているものです。同分野における経営企画や事業戦略、サービス企画等に携わる方々には、「モバイルSNS/ソーシャルアプリの事業分析と市場規模予測」(コンプリート版)のご活用をお勧めします。

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