情報流通ビジネス研究所
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特集・モバイルSNS/ソーシャルアプリ市場分析と今後の展望(第3回)(2010/07/21)
一方で、モバイルSNSとゲームセンターの間ではビジネスモデルにいくつかの大きな違いがみられ、それがソーシャルゲームの爆発的な成長要因となっている。

ゲームセンターの制約を超越したモバイルSNSの特性

・最も手元にある中毒性サービス
モバゲーやGREEは、生活の中でふと生じる、娯楽や刺激が欲しくなる時間の隙間、あるいは心の隙間に応えるサービスである。すなわち、ケータイと言うすぐ手元にある機器上で、アクセスすれば無料で、簡単な操作だけで極めて気軽に刺激が味わえる。

これを繰り返させることで、コミュニケーションやゲームに対して習慣性が生じ、いずれは課金支出を繰り返す中毒状態にまで会員を引き入れてしまう。この中毒性をいつでもどこでも「手元」で味わえるようにしたところがモバゲーやGREEのゲームセンタービジネスの秀でた点であり、恐ろしい点である。

・フリーミアム
拠点ごとにゲーム機を置き、賃料・保守料・人件費等がゲーム利用数(設置数)に比例して増大するゲームセンターの業務用ゲームと違い、インターネット上のソーシャルゲームの場合は1拠点だけで全国(全世界)展開が可能なため、サーバー容量の増強、コンテンツ更新、ゲームマスターとしての運用監視等の主要コストの多くについて、利用数(アクセス数)に比例したコスト増分は小さい。

その結果、多くのユーザーを、無料ゲームを習慣的に利用するところまで引きこんだところで、中毒的にのめりこんだ一部を課金ユーザーにすくい上げて行く手法をとることが可能になった。人間の心理・欲望を衝く巧妙な形で「フリーミアム」(Freemium)の仕掛けを展開したこの手法は、ゲーム系に限らず、ソーシャルサービスの成功の秘訣を読み解く上での最も基本的なキーとなる。

・ライフログ・ソーシャルグラフ活用による習慣・中毒の増幅
習慣化・中毒化を促すサービス展開の中で、SNSの本来機能である会員の利用履歴(ライフログ)や会員間のつながり(ソーシャルグラフ)は、それを増幅する欠かせない要素である。

ソーシャルゲームは突き詰めれば、
・投入資源(仮想通貨やアイテム等)
・プレイヤーの能力(経験値や戦闘力等)
・プレイヤー自身のアクション(農耕作業や戦闘等)
・プレイヤー間のインタラクション(協調や競争等)
・偶然(確率)
――をインプットとして、一定のゲームロジックに基づきプレイヤーの属する仮想空間の状態(アウトプット)が動的に変動していくサービスに他ならない。

こうしたサービスにおいて習慣化と中毒化を促すには、ゲームのアウトプットであるライフログやソーシャルグラフを、ゲームのインプット要素として再帰的に活用し過去の利用経験が未来の利用体験にあたっての刺激になるようにサービスを仕立て上げることがカギになる。

特に、ソーシャルグラフの活用は重要である。会員間の協調・追随や競争がゲームの演出要素として組み込まれることで、「上位の仲間に追随したい」「仲間に望まれているので頑張らなくては」といった心理が生まれ、それに「ハマった」会員の利用が活性化、ひいてはアイテムや仮想通貨の購入に駆り立てられるのが実態である。

ゲームセンターでももちろんプレイヤー同士での競争・協調が織り込まれたゲームは人気だが、ライフログやソーシャルグラフを再帰的にフル活用した煽りとそこから課金への自然な導線設計は、ケータイにしかできない技である。

オープンプラットフォームによるコンテンツ供給

更には、同じく空間の制約がないことに起因し、無限の数のゲーム数を受け入れることがプラットフォーマー(サービス運営者)として可能となったことも、ソーシャルゲームの急速な発展を支える大きな要因になっている。

その潜在的可能性をサードパーティーへのプラットフォーム開放という形で具現化することに真っ先に成功したのがDeNAである。

2009年後半より、外部のパブリッシャー(SAP:ソーシャル・アプリ・プロバイダー)に広くモバゲーの会員への販売・集客手段を提供し、モバゲーはその対価として販売報酬(数十%)を収受した上で残りの収益はSAPに配分するプラットフォームビジネスを開始した。

これにより、モバゲーへのSAPの関心・求心力が一気に高まり、それがコンテンツ・会員・課金収入を呼び込む好循環が生まれている。(次回に続く)
(文/情報流通ビジネス研究所 SNS・ソーシャルアプリG+梶村  徹)

※本記事は、情報流通ビジネス研究所発行レポートの内容を不定期で掲載しているものです。同分野における経営企画や事業戦略、サービス企画等に携わる方々には、「モバイルSNS/ソーシャルアプリの事業分析と市場規模予測」(コンプリート版)のご活用をお勧めします。

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