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NSNによるモトローラ無線インフラ事業買収の狙い(第1回)(2010/07/27)
ノキア シーメンス ネットワークス(以下、NSN)は2010年7月、米モトローラからネットワーク機器事業の大半を、12億ドル(約1040億円)で買収することで合意したと発表した。モトローラのインフラ部門買収に費やした12億ドルという金額は、エリクソンがチャプター11を申請していたノーテル・ネットワークス(カナダ)のCDMA/LTE/GSM関連事業を買収するために積んだ札束と、ほぼ同じ高さである。
ノキア シーメンスが本当に欲しかったもの これによりNSNは、モトローラの保有するGSMやCDMA、UMTS、WiMAX/モバイルWiMAX、LTEといった各関連事業を獲得する。同時に、 チャイナ・モバイルやベライゾン・ワイヤレス、スプリント・ネクステル、クリアワイヤー、そしてKDDIなどCDMA系やTDD/OFDM系オペレータを含む、50数社におよぶモトローラの顧客を引き継ぐことになった。 今回の買収によって、NSNは多くのオペレータとの関係を強化させ、インフラでトップを行くエリクソンや、攻勢を強める中国系ベンダーに対抗していく。買収の結果、NSNは日本における外資系ベンダーとして首位に、米国では第3位となり、グローバルベースでのインフラシェアで2位の座となった。買収が成立するには規制当局の承認が必要となるため、その実現時期は2010年内とみられる。 CDMA中心の北米市場における事業強化を狙っていたNSNは、2009年のノーテルの事業資産オークションにおいて、2回にわたり手を挙げていた。しかし、CDMAやLTE、GSMなど北米のモバイル事業はエリクソンに、固定系はシエナに、それぞれ持っていかれたという経緯がある。 それまでモトローラは、業績の不振から携帯電話端末およびCATV用STBなど取り扱う消費者向け端末部門と、インフラなどの事業関連部門に組織分割する方針を打ち出していた。同社はこれに基づき、2011年前半にはそれぞれ分社化する計画を進めていたため、その落とし所がNSNによる今回の買収という形になって現れた――とみることができる。 真の狙いはLTEビジネスの開拓と拡大
モトローラは、これまでCDMAを主軸として北米や中国、インド、日本などで事業や研究開発を進めていた。しかし今後を見据えると、3.9Gに該当する
CDMAの後継規格への道のりが断たれたことから、同社の将来性に対する不安が生じるとともに、業績も低迷していた。そのためここ数年来、WiMAX/モバイルWiMAXやTD-LTEといったTDD-OFDM系分野を強化させている。 NSNからみればエリクソンと同様、今まで弱かったCDMA市場に入り込み、ノキア本体の端末事業も含めて北米CDMA市場におけるシェアを拡大させるというのが、直近のビジネスになる。しかし真の狙いは、その先に見えるLTE市場の開拓と、同事業の裾野拡大にあると考えられる。 欧州各国の携帯電話事業者に見られるように、大半のGSM/UMTS系オペレータは、現在の設備をアップグレードしてデータトラヒック急増に対処しつつ、 ビットコストの低廉化とOPEXの抑制を図りながら、きたるべき将来にLTEを導入していくという、ネットワークの高度化ロードマップを描く。 すなわち、可能な限り既存資産を使い倒すというのが基本であり、設備産業に関わる企業としては至極まっとうな経営判断をしている。GSMからEDGE、UMTS、 HSPA(HSDPA/HSUPA)、HSPA+、そしてDC-HSDPAなど、3G資産を完全に捨ててLTEの構築に着手するまでには、多様な経路があ り、周波数帯域の確保や移行といったファクターも絡めると、GSM/UMTS系オペレータには、さまざまな戦略オプションが残されている。(次回に続く) (文/情報流通ビジネス研究所 所長 飯塚周一)
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