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特集・本番を迎えたMVNOと日本の国際競争力を考える(第4回)(2009/06/08)
国内の携帯電話端末メーカーは、外部環境のめまぐるしい変化に囲まれながらも、1994年に行われた端末自由化以来、10余年にわたり事業者依存のビジネスモデルを継続させてきた。
事業者依存構造からの脱却 その帰結として陥ったのが、高騰する端末製造コストに対する国内事業者からの厳しい圧縮要求と、多品種少量化による収益率低下である。一方、海外市場の方はといえば、ケタの異なる生産規模とSCM体制で他を圧倒するグローバルメーカーに行く手を阻まれた。まさしく内憂外患だ。 それに追い打ちをかける格好となったのが、事業者依存構造の象徴であった「販売奨励金モデルの見直し」である。 モバイルビジネス活性化プランで示されたように、通信料金と端末価格の明確な会計分離による透明性の確保を目的として、事業者による販売奨励金モデルの見直しが求められた格好だが、急拡大期を過ぎて買い替えメインとなった市場環境の下では、携帯電話事業者の経営的側面からしても、このビジネスモデルが金属疲労を起こしていることは明らかだった。 実際のところ、分離プランを実行して以降、端末の販売数は減ったものの、各事業者の2008年度中間決算は増益を記録している。これは、今までいかに「無駄打ち」が多かったかの証左に他ならない。 足元のビジネスに対する影響の大きさに拘泥するあまり、数年先のFMCやNGN時代を前にしながら、市場急成長期に編み出された古い商習慣を捨てるタイミングを見失っていた事業者にとって、結果的には収益を揺るがす事態にいたらなかった。 むしろ事業者は、今後の事業シナリオを推し進める上でつきまとう夾雑物がなくなった分、目に見えないメリットを得た格好だ。これと対照的なのが端末メーカーである。今までは販売奨励金モデルを背景に、本来の市場規模を超える母数を前提としてきたことから、販売代理店とともに見直しの影響を直接被ることになっ た。 携帯電話端末の自由化当初、端末メーカーは事業者に対する製品供給と並行して、自らのブランドと流通チャネルで自社端末を販売したという経緯がある。 しかし当時は、加入者市場そのものの拡大を目指す携帯電話事業者によって、販売奨励金を原資とする「ゼロ円端末」戦略が進められ、メーカーのまともな上代価格(希望小売価格)はまったく通用しなかった。いってみれば、国内端末メーカーの独自販売戦略は、携帯電話事業者によって事実上封印されたのである。 それ以来国内の端末メーカーは、事業者の端末製造部門としてビジネスを進めるという、事業者依存の戦略を続けてきた。「販売奨励金モデルの見直し」を契機 に、携帯電話事業者は市場環境の変化に対応したが、端末メーカーにしてみると、これまでのいきさつを踏まえれば、ある意味では事業者によって梯子を外された感がなきにしもあらず、といったところだ。 とはいえ国内の端末メーカーが、今までの事業者依存構造から直ちに脱却するのは、「言うは易 し行うは難し」である。ただし、少なくとも今後の方向性として見えてくることもある。市場の成熟化とオープン化がいっそう進む時代においては、事業者に対 する配慮だけが端末メーカーの拠って立つ戦略ではないということである。 MVNOによって、携帯電話サービスをエンドユーザーに届ける役 割を果たすのが、周波数免許を持つ事業者に限定されなくなった以上、一括納入の数量メリットは薄れていく。多様化するニーズに対して、これからさらに多品 種少量生産が要求される流れのなかにあっては、なおさらのことだ。 端末セグメントや機種ごとの生産台数を調べたら、事業者向けよりMVNO向けの方が多かった――これからは、そんな状況が訪れるかもしれない。 (文/株式会社情報流通ビジネス研究所 所長 飯塚周一)
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