情報流通ビジネス研究所
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スマートフォン大競争時代・第8回(モバイルインターネット要覧2011より)(2010/12/20)
統合サービスを維持しながら、Appleが収益を最大化していくためには、グローバルな統一性を確立しておくのが最善である。同社の提供する統合サービスを、地域やオペレータに合わせて部分最適化することは、システム全体の最適化に逆行する。端末にしてもローカル言語化は行うが、それ以上のことは施さない。

もし、Appleに地域に合わせたローカライズのような考えがあったならば、単一モデル展開に拘らず、機種のバリエーションを多く取り揃えていただろう。 しかし現在、iPhone4の基本カラー展開が事実上、黒一色であることからも窺えるように、同社は端末自体のローカライズはおろか、色展開すら行ってい ない。

極論すれば、iPhoneの画面の中に出てくるアイコン、すなわち各種のアプリやコンテンツ、サービスが端末の差別化ポイントだというわけである。端末に は、それらを演出するための仕掛けとして、各種センサなどが組み込まれているに過ぎない。いうなれば、Apple専用のただの箱である。

強いて言うならば、iPhoneにおけるローカライズとは、タッチ画面に出てくる各国の開発者が作ったネイティブなアプリによって、実現されているという ことになる。したがってAppleにとっては、グローバルベースでの統合サービスをより進化させていくことが最優先課題であり、ハードに依存する部分も含 めたローカライズは、基本的に関心の外にあるといえるだろう。

"各国対応の集積度"がベンダーの帰趨を決定

iPhoneは、Appleに最大限の収益化をもたらすグローバルな統合サービスの入り口として、これからも発展を遂げていくものと思われる。しかしなが ら、収益の最大化を図るため、同社が戦略上敢えて戦略の枠外に置いた端末のローカライズも、Android OS勢にからすれば決して軽視はできない戦略である。

むしろ、iPhoneでは対応できない各国のユーザー・ニーズをきめ細かくすくい取っていくことこそ、iPhoneの勢いに対抗し得る大切な打ち手という ことができるだろう。国内であればオペレータ独自のメールや決済機能、ワンセグ搭載などは、Appleの革新的な端末の魅力に惹かれて飛び付いたオピニオ ンリーダーやアーリー・アダプタ層にとっては二の次の機能かもしれない。

しかし、それまでの携帯電話の使い方に親しんだ一般ユーザーを、スマートフォンに 引き込むためには、極めて有効なセールスポイントになる。また、市場規模も大きい。

iPhoneの登場によって、一般ユーザーに対するスマートフォン自体の認知度が高まった現在、もはやアーリー層による宣伝・口コミ効果は、それほど重要 ではない局面に入ったといえよう。そのフェーズにおいて重要なのは、一般の端末からスマートフォンへの買い替えを躊躇する障壁を取り除くことである。すな わち、自国ユーザーに対応したローカライズが最大の焦点になってくる。

その意味でAndroidは、オープンなOSであるがゆえに、各国オペレータの仕様や要求に合わせてカスタマイズ可能という、ローカル需要に応えていける 利点がある。この点こそ、グローバルな統合サービスを展開するAppleのiPhoneと、Android端末の決定的な違いであろう。

iPhoneのビジネスモデルと収益化の経路や方法は全く異なるため、一概にAndroid端末を比較対象にすることはできないが、つまるところ iPhoneでは埋め切れない、各国各地域に向けたローカライズを突き詰めていくことが、Android OSを採用する端末ベンダーの取るべき戦略ということができる。そして、同一OSのもとで施したローカライズの集積度が、これからの端末ベンダーの帰趨を決定していくものと思われる。(次回に続く) →詳細
※本記事は「モバイルインターネット要覧2011」の内容を一部抜粋したものです。
(文/情報流通ビジネス研究所 所長 飯塚周一)

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