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スマートフォン大競争時代・第7回(モバイルインターネット要覧2011より)(2010/12/18)
前回までに、iPhoneが目指すところはAppleの統合サービスへの入り口であり、基本的に生産コストとハード販売の利ザヤを稼ぐ、その他端末ベンダーのAndroid搭載スマートフォンとは、位相が異なる点について触れた。したがって、端末販売シェアや規模の多寡によって両者を比較することは、スマートフォンの黎明期である現在ならまだしも、将来にわたってその優劣を決めることは意味を持たなくなる。

スマートフォンにおける「グローバル」と「ローカル」

Android OS系端末ベンダー各社が、Appleにならってアプリ・ストアを開設している例も少なくない。しかし、大成功したiPodなどで確立・醸成されたiTunesのような仕組みを持たない以上、AppleのiPhoneモデルをAndroid端末で同じようにトレースしていく戦略が成功する可能性は低い。

強いてAppleのiPhoneモデルの課題を挙げるならば、それは同社単独で、かつ単機種という持ち駒をもってグローバルな統合サービスを展開していく以上、地域や国情に合わせたサービスのローカライゼーションは手薄になる可能性がある点である。ここは、Android勢にとってむしろ強みになる公算が高い。

すなわち、従来の端末販売モデルと同様、各地の携帯電話オペレータと深く関与しながら、そのオペレータが対象とするマーケットに合わせて、Android端末のローカライゼーションを施していくという方向性である。

国内で言えば、例えばKDDIが発売したシャープ製Android OS搭載スマートフォン「IS03」は、日本独自の「おサイフ」機能(Felica)やワンセグ、赤外線通信機能が搭載されている。さらにはEメール (@ezweb.ne.jp)や「LISMO!」「au one ナビウォーク」にも対応している。ドコモも、オプションという後付けではあるが、ソニー・エリクソン製の「Xperia」にSPモードを設定し、従来のメール使用を可能にした。

このように、Android OSを各国の携帯電話オペレータ向けのベースと位置付け、その上でオペレータごとの仕様や、あるいはオペレータの統合プラットフォームを搭載し、地域ユーザーに合わせたローカライゼーションを図っていく。これは、AppleのiPhoneモデルが比較的不得手とする部分だと考えられる。

そもそも地域や各国のユーザー特性に合わせて、携帯電話のラインアップを数多く揃え、生産と在庫管理の精緻化を図りながらスケールメリットを出して収益化するというのは、携帯電話端末のグローバル・ベンダーなら当然のことであった。

しかし従来は、ハイエンド~ローエンドというような分類によってOSを選択し、それをさらに細分化して数十~数百にものぼるラインアップを取り揃えていた。そのため、エリアごとの市場動向にきめ細かく俊敏に対応することはできても、やはり生産・在庫コスト面での非効率さは否めなかった。

むしろその面こそが、端末ベンダー間の収益性を左右し、本当の競争軸になっていたというのが真相であろう。日本の端末ベンダーは、本質的にいえばこの部分ですでに負けが見えていた。

同様に、Appleの立場からしても、物量に左右される現在の競争構図では、とても参入する気になれなかっただろう。また革新的とはいえ、iPhoneという商品力だけでも押し潰される可能性が高かったと思われる。

従来型の端末事業モデルが主流のなかでAppleが成功していくためには、大変魅力に富むiPhoneを交渉の材料にしながら、特定オペレータから有利な条件を引き出し、加えてiPodで成功・確立したiTunesとアプリ連携にいたるまで、同社が全てのレイヤでイニシアチブを握る統合サービスによって、 従来型のビジネスモデルを旨とするグローバル端末ベンダーに、隙を与えぬことが不可欠だったのである。

Appleは、CDMA版iPhoneをベライゾン向けに投入することを決め、iPhone販売の横展開に出ている。そして、いずれ他のCDMAオペレー タ向けとしても販売していくことになると考えられる。

しかしながら、それでも同社が販売パートナーとしてオペレータを選ぶスタンスには、慎重さがみてとれる。iPhoneを大量に扱ってくれるなら、どこでもよいという判断をすることはないだろう。なぜならば、同社の統合モデルが崩れてしまうからである。(次回に続く)→詳細
※本記事は「モバイルインターネット要覧2011」の内容を一部抜粋したものです。
(文/情報流通ビジネス研究所 所長 飯塚周一)

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