情報流通ビジネス研究所
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特集・フェムトセルの動向と市場展望(最終回)(2009/02/17)
フェムトセルは、基本的に3段階のステップを経て高度化していくだろう。「屋内カバレッジの改善ツール」から「FMC/FMSのための戦略ツール」へ、そして「ホームゲートウェイ/ホームネットワークのコアデバイス」という道筋だ。先に挙げたフェムトセルの実現方式も、これらにあてはめて考えることができる。Iub over IP/集線装置型は屋内カバレッジの改善として、UMA型は現実的なFMC/FMSツールとして、IMS型は最終ステップのホームゲートウェイ/ホームネットワーク実現まで含めた戦略商品――といった風である。

IMS網との相乗が生むビジネスの新局面

そうしたなか、3G/3.5G携帯とブロードバンド回線の両輪ともに、それぞれ高い普及率を示すという日本で、最終ステップを射程に収めたIMS型フェムトセルが導入されようとしている。各国のオペレータが無関心でいられるはずもない。IMS型のフェムトセルは、無線接続した端末からのトラヒックはIPとして取り扱う。今後のIP化トレンドに最も合致したシステムといえる。

そもそもNGNは、固定と移動の境目を取り払ったIMSプロトコルの一気通貫ネットワークといえるが、フェムトセルはその象徴的存在として定義できるだろう。いうなればフェムトセルは、NGNの落とし子のようなものだ。

最近では、ベンダーから多様なフェムトセル・ソリューションが提案されてきた。さまざまな通信インターフェースや付加機能が盛り込まれている。各社が将来像として掲げ始めているのは、携帯電話の無線接続装置としてだけではなく、AV機器などの各種家電・ゲーム機の接続や住設機器などの電灯線系機器・各種センサーの制御、PCインターネット連携など、家庭に向けた多様なサービスの中核にフェムトセルを据える――というコンセプトである。

これまでにも、AV機器を中心にホームネットワークサービスを提供しようとする試みは数多くあった。が、商業的に成功したという話は聞かれない。これらに対し、携帯電話/フェムトセルを核としたシステムが優れているのは、最も身近な機器を使うということだ。ホームネットワークサービスを使いこなすコントローラーは専用端末ではなく、携帯電話だということが第1のポイントとして挙げられるだろう。

テンキーと周辺ボタンで構成されている現在の端末だと使いにくいかもしれないが、例えばiPhoneのように、タッチパネル方式で使用目的に応じて、ボタンやアイコンを画面に割り当てるようなユーザーインターフェースを採用すれば、使い勝手の向上はもとより、サービスの提供形態など今までとはまったく違う世界が広がっていくのではないか。

第2のポイントは、これまでに確立された携帯電話の各種プラットフォームやサービス、コンテンツといった各種リソースを活用できるということである。実はこの点にこそ、フェムトセルの提供する高度なサービスの多様性や可能性を占う、大きなヒントが多く隠されているのではないかと、筆者は考えている。

さらにいえば、IMSで統一されるコアの下では、各種のアプリケーションやソフトェア、コンテンツなどがSDP(Service Delivery Platform)に集約される格好となる。ケータイにとどまることのないプラットフォームが確立・熟成し、網や機器、ロケーション、シチュエーションの別も問わず、文字通りのシームレスなサービスが提供されることの意義は、果てしなく大きい。

3G/FTTHのずば抜けた普及率、NGN/IMS網構築の進展、そしてコンテンツを始めとした上位サービスの活発な利活用が進む日本において、フェムトセルの目指すべきゴールは、まさしくこの部分にある。欧米各国の事業者が想定するような電波の不感エリア解消策や、固定と移動のバンドル料金の提供手段で終わらせるのは、無策に等しい。

これからは、高付加価値を目指したコンセプトメイキングと新ビジネスの創出、そして各プレーヤーのエコシステムの再編と確立に向けた動きが活発化していくはずであるし、そうなるべきだろう。国際競争力の弱体化が指弾されるなかにあって、絶好の通信環境や各種の資産、ユーザーマインドなど、いずれも他国の追随を許さぬポジションを得ている現在の状況を、生かさない手はないのである。

(文/株式会社情報流通ビジネス研究所 所長 飯塚周一)


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