情報流通ビジネス研究所
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特集・フェムトセルの動向と市場展望(第3回)(2009/02/16)

システム形態や導入動機にはそれぞれ温度差があるものの、フェムトセルに対する各国の通信事業者の関心の高さは日増しに高まっている。その根底にあるのは、ユーザー宅内における「ケータイ利用率の高さ」にある。やはり、どこの国でも携帯電話は、固定電話よりパーソナルな通信手段なのだ。

ある国内携帯事業者の場合、全トラヒックの約8割は室内で発生するともいわれる。そうした傾向は日本だけでなく、他国も同様だ。また3Gが進むなか、宅内データ通信の比重もおのずと高くなっていく。

フェムトセルの導入で期待される効果

音声だけでなくデータ通信も含め、事業者が提供するサービスメニューは、ますます多様化・複雑化する一方だが、フェムトセルは需要の大半を占める宅内ユーザーに対して、それぞれ最適化された料金メニューやサービスを提供することができる。宅内エリアの中でユーザーは、周波数帯域を独占して高スループットのデータ通信が可能となる。また、宅内の携帯電話かけ放題や、自分の使い方に最適な料金メニューを、自由にきめ細かく選択できるような環境が訪れるだろう。

事業者にとっても、今まで屋外ゾーンで一律に提供していたサービスを、輻輳を回避しながら競争力のあるものに仕上げられることのメリットは大きい。例えば格安料金を打ち出す場合、従来はすべてのユーザーを対象にしなければならず、おのずとARPU下落を覚悟する必要があったが、フェムトセルを用いる場合、必ずしもそのようになるわけではない。

フェムトセルを導入することによって携帯電話事業者は、これまでになくセグメント化された戦略を進めることができるようになる。欧米でみられるように、携帯電話事業者による固定電話マーケットへの進出、いわゆるFMS(Fixed Mobile Substitution:携帯電話による固定の代替)戦略を進めるための有効なツールとして、フェムトセルを位置付ける向きもある。

FMCといった場合、今までは固定と携帯電話ネットワークの両方を併せ持つ通信事業者が、無線LAN対応のデュアル端末を用いるFMCサービスを指すことが多かった。サービス利用にあたっては、デュアル端末が必要だったことから、利用状況は芳しくなかったものの、携帯電話専業の通信事業者にとってこの動きは、決め手となる対抗策がなく、やはり潜在的な脅威だったのである。

従来、携帯電話専業の事業者は、屋外基地局ゾーンベースでユーザーの自宅やその周辺エリア内の通信料金を割り引き、固定電話のトラヒックをすくい取るというFMS戦略を進めていた。しかしこの方法には、いくつかの問題点が指摘されていた。

例えば本来なら、ユーザーの自宅内に限って格安料金を提供したいところだが、屋外のマクロセルベースではコスト構造的に無理を覚悟しなくてはならない。これに対しフェムトセルを使えば、基本的にそのような問題は避けられる。携帯電話のFMS戦略にとってフェムトセルは、非常に都合のよい存在だといえよう。

(文/株式会社情報流通ビジネス研究所 所長 飯塚周一)

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